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畠山重忠245

第二十四章 再び伊勢にて:。

「もう休んで良い」
牧の方が秀子に声をかけた。優しげな口調である。このところ、牧がこれまでになく穏やかな様子になっているのを秀子は感じていた。
 頼家に代わり、実朝が征夷大将軍に補せられたのを境にしてのようである。
 頼家も実朝も政子が産んだ子には変わりがないが、頼家の背後にはその妻の実家である比企一族がいた。しかし、比企一族はすでに滅亡している。
 そうなると、政子の実家である北条家が将軍家外戚として政権の主導権を握ることとなる。
 牧はさすがに比企一族の滅亡をあからさまに喜ぶような言動は控えているものの、夫の時政が政権内でこれまでになく重きを成すのが嬉しくないはずはなかった。
その侍女である秀子も評価を上げた。
 比企能員に謀反の意ありとの政子からの知らせを時政にもたらしたことによってである。
 旧主の頼盛の世話によって北条家に仕えるようになってから十九年の歳月が過ぎた。 
 気性の激しい牧に叱られることはしばしばで、その度に、住み慣れた都や亡き夫、さらには幼い頃を過ごした博多そして亡き母やその顔を知らずに海に消え、炎丸という名だけを知っている父親を思い、ひそかに泣いていた。 唯一の救いは水売りの小天狗こと識之助であったが、ある時から姿を見せなくなった。
若い男との色恋も儚い夢と消えていた。
 何ら生き甲斐もなく、ただ、暮らしていくためにだけ仕えていた北条家。
 牧とその継子らとの関係もぎすぎすし、夫婦間の口論もしばしばあった。
 それがここへ来て、うって変わって和やかな雰囲気なのである。
 牧は時政には笑顔で接し、政子や義時ら継子たちの悪口も言わなくなっていた。
 そうしたことに加え、秀子に対しても、これまでのような顎で使う態度ではなくなってきている。
家全体に優雅な雰囲気さえ感じられるようになった。
 主の出世はこうも家庭の雰囲気を変えてしまうのか。
 秀子も日々の仕事に張りを感じるようになっていた。
 そして、この日は、娘婿の平賀朝雅が京都守護として上洛するため、その餞別の宴を名越の北条邸にて催すことになっている。秀子は女中たちを指図しながら、目配りよく、準備にいそしんでいたのであった。

「武蔵という国はこの相模と境を接しています。鎌倉の北の守りとして重要な国を離れるのは後ろ髪をひかれる思いですが」
 懸念を口にする婿の杯に時政は酒を注ぎながら、
「朝雅どの、武蔵のことならばご心配なさるな」
武蔵守である朝雅は任国を離れるので、時政がその任務を代行することとなった。
「とにかく、ここのところの鎌倉の様子を聞いて、不穏な動きがないとも言えぬので、都の方に専念されてくだされ」
畿内に近い伊勢や伊賀には平家の残党がいる。比企一族との抗争などで、鎌倉政権に隙有りと見ている者もいるはずだ。そうした動きを警戒するために、娘婿の朝雅を京都に派遣することとなった。
 鎌倉政権の安定に責任を持たんとする時政の意志の表れであった。
「武蔵には、かの者がいることをよもやお忘れではないですね」
脇に座してる牧が意地悪そうな横目で時政に話しかける。
「また:。今、その話をすることもなかろうに」
妻の重忠嫌いには時政も辟易している。何の理由もなく嫌う子供じみたところには呆れかえっているが、
「私はただの好き嫌いで申しているのではありませんよ」
「だからどうだと言うのだ」
「武蔵の者たちをいざという時、殿の意のままに出来ますか。あの者がいては」
「何を言うか。重忠どのはわしの婿であるぞ」
時政は叱りつけるような口調になるが、牧は、
「謀反の風聞あるは武士として誉れなどと言っていたそうですね」
時政は何か言い返そうとしたが、口をつぐんだ。
 以前に謀反の疑いをかけられた時も、卑屈な態度を微塵も見せなかった重忠であるが、その分、権勢ある者を恐れないところがある。
 牧の言うことも聞き流しには出来ない、とその時、思った。 (続く)
菊池道人 ( 2016/11/17 10:01 )
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